「扶養義務者」の意義

(「扶養義務者」の意義)
1の2‐1 相続税法(昭和25年法律第73号。以下「法」という。)第1条の2第1号に規定する「扶養義務者」とは、配偶者並びに民法(明治29年法律第89号)第877条《扶養義務者》の規定による直系血族及び兄弟姉妹並びに家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族をいうのであるが、これらの者のほか三親等内の親族で生計を一にする者については、家庭裁判所の審判がない場合であってもこれに該当するものとして取り扱うものとする。
 なお、上記扶養義務者に該当するかどうかの判定は、相続税にあっては相続開始の時、贈与税にあっては贈与の時の状況によることに留意する。


(「個人」の意義)
1の3・1の4共‐1 法に規定する「個人」とは、自然人をいうものとする。


(個人とみなされるもの)
1の3・1の4共‐2 相続税又は贈与税の納税義務者は、相続若しくは遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずべき贈与以下「死因贈与」という。を含む。以下同じ。)又は贈与(死因贈与を除く。以下同じ。)によって財産を取得した個人を原則とするが、次に掲げる場合においては、それぞれ次に掲げるものは法第9条の4第3項、第66条又は第66条の2の規定により個人とみなされて相続税又は贈与税の納税義務者となることに留意する。
(1) 法第9条の4第1項又は第2項に規定する信託の受託者(個人以外の受託者に限る。以下1の3・1の4共‐2において同じ。)について同条第1項又は第2項の規定の適用がある場合 当該信託の受託者
(2) 代表者若しくは管理者の定めのある人格のない社団若しくは財団を設立するために財産の提供があった場合又はその社団若しくは財団に対し財産の遺贈若しくは贈与があった場合 当該代表者若しくは管理者の定めのある人格のない社団若しくは財団
(3) 持分の定めのない法人(持分の定めのある法人で持分を有する者がないものを含む。以下1の3・1の4共‐2において同じ。)を設立するために財産の提供があった場合又はこれらの法人に対し財産の遺贈若しくは贈与があった場合において、当該財産の提供又は遺贈若しくは贈与をした者の親族その他これらの者と法第64条第1項に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるとき 当該持分の定めのない法人
(4) 法第66条の2第2項第1号に規定する一般社団法人等の理事である者(当該一般社団法人等の理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む。)が死亡した場合において、当該一般社団法人等が同項第3号に規定する特定一般社団法人等に該当するとき 当該特定一般社団法人等


(納税義務の範囲)
1の3・1の4共‐3 法第1条の3第1項各号又は第1条の4第1項各号に掲げる者の相続税又は贈与税の納税義務の範囲は、それぞれ次のとおりであるから留意する。
(1) 無制限納税義務者(法第1条の3第1項第1号又は第1条の4第1項第1号に掲げる個人以下「居住無制限納税義務者」という。又は第1条の3第1項第2号又は第1条の4第1項第2号に掲げる個人以下「非居住無制限納税義務者」という。をいう。以下同じ。) 相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産の所在地がどこにあるかにかかわらず当該取得財産の全部に対して相続税又は贈与税の納税義務を負う。
(2) 制限納税義務者(法第1条の3第1項第3号又は第1条の4第1項第3号に掲げる個人以下「居住制限納税義務者」という。又は第1条の3第1項第4号又は第1条の4第1項第4号に掲げる個人以下「非居住制限納税義務者」という。をいう。以下同じ。) 相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産のうち法施行地にあるものに対してだけ相続税又は贈与税の納税義務を負う。
(3) 特定納税義務者(法第1条の3第1項第5号に掲げる個人をいう。以下同じ。) 被相続人が法第21条の9第5項に規定する特定贈与者(以下「特定贈与者」という。)であるときの当該被相続人からの贈与により取得した財産で同条第3項の規定(以下「相続時精算課税」という。)の適用を受けるものに対して相続税の納税義務を負う。
(注) 平成29年4月1日から令和4年3月31日までの間に非居住外国人(平成29年4月1日から相続若しくは遺贈又は贈与の時まで引き続き法施行地に住所を有しない個人であって日本国籍を有しないものをいう。以下1の3・1の4共‐3において同じ。)から相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した時において法施行地に住所を有しない者であり、かつ、日本国籍を有しない個人については、所得税法等の一部を改正する等の法律(平成29年法律第4号)附則第31条第2項の規定により非居住制限納税義務者に当たることに留意する。
 なお、贈与税の非居住無制限納税義務者(日本国籍を有しない個人に限る。)に該当する者であっても、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間に非居住外国人から贈与により財産を取得した場合には、所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)附則第43条第2項の規定により非居住制限納税義務者に当たることに留意する。


(「住所」の意義)
1の3・1の4共‐5 法に規定する「住所」とは、各人の生活の本拠をいうのであるが、その生活の本拠であるかどうかは、客観的事実によって判定するものとする。この場合において、同一人について同時に法施行地に2箇所以上の住所はないものとする。


(国外勤務者等の住所の判定)
1の3・1の4共‐6 日本の国籍を有している者又は出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第2に掲げる永住者については、その者が相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した時において法施行地を離れている場合であっても、その者が次に掲げる者に該当する場合(1の3・1の4共‐5によりその者の住所が明らかに法施行地外にあると認められる場合を除く。)は、その者の住所は、法施行地にあるものとして取り扱うものとする。
(1) 学術、技芸の習得のため留学している者で法施行地にいる者の扶養親族となっている者
(2) 国外において勤務その他の人的役務の提供をする者で国外における当該人的役務の提供が短期間(おおむね1年以内である場合をいうものとする。)であると見込まれる者(その者の配偶者その他生計を一にする親族でその者と同居している者を含む。
(注) その者が相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した時において法施行地を離れている場合であっても、国外出張、国外興行等により一時的に法施行地を離れているにすぎない者については、その者の住所は法施行地にあることとなるのであるから留意する。


(日本国籍と外国国籍とを併有する者がいる場合)
1の3・1の4共‐7 法第1条の3第1項第2号イ又は第1条の4第1項第2号イに規定する「日本国籍を有する個人」には、日本国籍と外国国籍とを併有する重国籍者も含まれるのであるから留意する。


(財産取得の時期の原則)
1の3・1の4共‐8 相続若しくは遺贈又は贈与による財産取得の時期は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。
(1) 相続又は遺贈の場合 相続の開始の時(失踪の宣告を相続開始原因とする相続については、民法第31条《失踪の宣告の効力》に規定する期間満了の時又は危難の去りたる時
(2) 贈与の場合 書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時


(停止条件付の遺贈又は贈与による財産取得の時期)
1の3・1の4共‐9 次に掲げる停止条件付の遺贈又は贈与による財産取得の時期は、1の3・1の4共‐8にかかわらず、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。
(1) 停止条件付の遺贈でその条件が遺贈をした者の死亡後に成就するものである場合 その条件が成就した時
(2) 停止条件付の贈与である場合 その条件が成就した時


(農地等の贈与による財産取得の時期)
1の3・1の4共‐10 農地法(昭和27年法律第229号)第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》本文の規定による許可を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下1の3・1の4共‐10においてこれらを「農地等」という。)の贈与又は同項第7号の規定による届出をしてする農地等の贈与に係る取得の時期は、当該許可があった日又は当該届出の効力が生じた日後に贈与があったと認められる場合を除き、1の3・1の4共‐8及び1の3・1の4共‐9にかかわらず、当該許可があった日又は当該届出の効力が生じた日によるものとする。


(財産取得の時期の特例)
1の3・1の4共‐11 所有権等の移転の登記又は登録の目的となる財産について1の3・1の4共‐8の(2)の取扱いにより贈与の時期を判定する場合において、その贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限りその登記又は登録があった時に贈与があったものとして取り扱うものとする。ただし、鉱業権の贈与については、鉱業原簿に登録した日に贈与があったものとして取り扱うものとする。


(財産の所在の判定)
2・2の2共‐1 法第2条第2項及び第2条の2第2項に規定する「この法律の施行地にあるもの」であるかどうかは、法第10条の規定により判定するのであるから留意する。